高齢者の避難所での過ごし方とは、災害時に学校体育館などの一般避難所で生活する際に、健康・体調・尊厳を守るための工夫のことです。
避難所は命を守る最後の砦ですが、若年層向けに設計されており、高齢者には過酷な環境です。床で寝る・トイレが遠い・プライバシーがない・食事が偏るなど、健康な人でも疲弊する場所。要介護者や持病のある方は特別な備えが必要です。今回は高齢者の避難所での過ごし方について、大阪ハピネス老人ホーム紹介センターが解説いたします。
一般避難所と福祉避難所の違い
災害時に開設される避難所は2種類あります。一般避難所(指定避難所)は学校体育館・公民館などで、多くの住民が一時的に避難する場所。福祉避難所は高齢者・障害者・乳幼児など要配慮者向けに開設される特別な施設です。
福祉避難所は介護施設・福祉施設・特別支援学校などが指定され、バリアフリー・専門スタッフ・適切な食事提供などの環境が整っています。要介護高齢者・難病患者・在宅医療を受けている方は、優先的に利用できます。
ただし福祉避難所は数が限られており、事前登録が必要な自治体もあります。お住まいの市区町村に「災害時要援護者名簿」への登録を依頼し、福祉避難所の利用条件を確認しておきましょう。
| 避難所種別 | 対象 | 環境 |
|---|---|---|
| 一般避難所 | 全住民 | 体育館・教室・床雑魚寝 |
| 福祉避難所 | 要配慮者 | バリアフリー・専門スタッフ |
| 指定緊急避難場所 | 緊急時の一時退避 | 公園・広場・屋上 |
| 在宅避難 | 家屋無事な世帯 | 自宅で生活 |
一般避難所での健康管理
やむを得ず一般避難所で過ごす場合、最も警戒すべきは「エコノミークラス症候群」と「感染症」です。長時間座りっぱなしで足の血流が悪化すると血栓ができ、肺塞栓を起こすことがあります。
予防には1〜2時間に1回の足の運動が効果的。立ち上がる、足首を回す、ふくらはぎを揉む、十分な水分補給を心がけましょう。「迷惑をかけたくない」と水分を控えるのは絶対に避けて、定期的にトイレに行きます。
感染症(インフルエンザ・ノロウイルス・新型コロナ)も避難所で蔓延しやすいリスクです。マスク・手洗い・うがいの徹底、可能なら他者と距離を取って過ごします。体調が悪い人とは寝る場所を離す配慮も大切です。
| 避難所リスク | 対策 |
|---|---|
| エコノミー症候群 | 1〜2時間に1回足運動・水分補給 |
| 感染症 | マスク・手洗い・距離確保 |
| 不眠 | 耳栓・アイマスク持参 |
| 低体温・脱水 | 季節に応じた服装・水分 |
| 食事偏り | 常備食(果物缶・栄養補助)持参 |
避難所生活を快適にする工夫
持参すると役立つ物を意識的に準備します。耳栓・アイマスク(睡眠の質を保つ)、簡易マット・寝袋(床の硬さ・寒さ対策)、プライバシーテント(着替え・授乳・トイレ用)、簡易枕など。
スマートフォン・モバイルバッテリーは情報入手と家族連絡の生命線。避難所には充電スポットが設けられることが多いですが、混雑するため自分の電源を持参するのが安心です。
食事の偏りを補うため、栄養補助食品(カロリーメイト・SOYJOY・果物缶詰)を持参すると体調維持に役立ちます。糖分・塩分の摂りすぎになりやすいので、自分で管理できる物を持っていくのが理想です。
要介護者・持病者の避難所対応
要介護者は、移動から避難所内の生活まで、家族・支援者の細やかな配慮が必要です。事前にケアマネジャーと災害時対応を話し合い、必要な持ち物リストを作っておきましょう。
常用薬は最低1週間分を持参。お薬手帳のコピーは身分証と一緒に常時携帯します。災害時にはお薬の処方が困難になる場合があり、お薬手帳があれば近隣の薬局・医療機関で同様の薬を入手しやすくなります。
おむつ・パッド・嚥下調整食・とろみ剤・補聴器電池・コンタクトレンズなど、特殊な必需品も忘れずに。一般の避難所で入手困難なものは、自分で準備するしかありません。
避難所以外の選択肢
避難所が合わない場合の選択肢も準備しておきます。在宅避難(家屋無事なら自宅で生活)、親戚宅、ホテル避難、車中泊、介護施設のショートステイ(ケアマネに事前相談)など。
「車中泊」は便利な選択肢ですが、エコノミークラス症候群のリスクが高く、特に高齢者にはおすすめできません。やむを得ず車中泊する場合は、こまめな運動・水分補給・座席を倒して足を伸ばすことを徹底してください。
「分散避難」も近年推奨されています。一部家族は自宅、他はホテルや親戚宅といったように分かれて避難することで、避難所の混雑を減らし、各自の負担も軽減できます。
よくある質問
Q. 福祉避難所はどうやって利用できますか?
A. 自治体が個別に開設・案内します。まず一般避難所に避難し、そこで「福祉避難所への移動」を申し出る形が一般的。事前に「災害時要援護者名簿」に登録しておくと、優先的に案内されます。
Q. ペットと一緒に避難所に行けますか?
A. 自治体によって対応が異なります。「ペット同行避難」を認める避難所が増えていますが、室内に一緒には入れず別室・別棟になることが多いです。ペット用品(ケージ・餌・ペットシーツ)の持参が必要。事前確認を。
Q. 認知症の親と避難所生活は難しそうです
A. 環境変化で症状が悪化(BPSD)するリスクが高く、福祉避難所か親戚宅への避難が望ましいです。「自宅+電気・水道止まらない」なら在宅避難の選択肢も。ケアマネジャーに事前に相談しておきましょう。
まとめ
避難所生活は健康な人でも消耗します。高齢者はさらに大きな負担を強いられるため、福祉避難所の事前確認、一般避難所での健康管理、避難所以外の選択肢の準備の3点を、平時から整えておくことが重要です。
「避難所に行かない」選択肢も含めて、家族・地域・専門職と協議し、最適な避難計画を立てましょう。災害は避けられませんが、避難の方法は選べます。命と尊厳の両方を守れる準備を進めてください。
大阪ハピネス老人ホーム紹介センターでは、福祉避難所指定を受けている施設のご紹介も承っております。災害時の避難先に不安をお感じの方は、お気軽にご相談くださいませ。