土用の丑の日は、夏バテ予防にうなぎを食べる日本古来の習慣として知られ、ビタミンB群・たんぱく質・ミネラルが豊富なうなぎは、夏に低栄養になりがちな高齢者にとっても理にかなった食材です。「うなぎは高い」「噛むのが大変」とためらわず、嚥下や経済面に配慮した工夫で、季節の恵みを暮らしに取り入れましょう。
今回は、土用の丑の日の由来、うなぎの栄養成分と高齢者への効果、嚥下に配慮したうなぎの楽しみ方、うなぎが食べられない場合の代替食材について、大阪ハピネス老人ホーム紹介センターが解説いたします。
土用の丑の日の由来
「土用」は立春・立夏・立秋・立冬の前約18日間を指す陰陽五行説の言葉で、特に夏の土用(7月下旬〜8月上旬)が知られています。「丑の日」は十二支の丑にあたる日のことで、夏の土用のうち丑の日に「う」のつくものを食べると夏バテしない、という風習が江戸時代から広まりました。
うなぎの蒲焼きと夏の組み合わせを世間に定着させたのは、平賀源内が考案したとされる夏のキャッチコピーが起源と言われていますが、栄養学的にも理にかなった習慣です。
うなぎの栄養成分
| 栄養素 | 含有量(蒲焼き100g)の目安 | 主な効果 |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 約23g | 筋肉・免疫力維持 |
| ビタミンB1 | 約0.75mg | 糖質の代謝、疲労回復 |
| ビタミンB2 | 約0.74mg | 脂質代謝、皮膚や粘膜の健康 |
| ビタミンA | 1500μgRAE | 視力・粘膜の維持、免疫力 |
| ビタミンD | 19μg | カルシウム吸収、骨の健康 |
| ビタミンE | 4.9mg | 抗酸化作用 |
| EPA/DHA | 豊富 | 血液サラサラ、認知機能維持 |
| カルシウム | 150mg | 骨粗しょう症予防 |
1食でこれだけの栄養価をまとめて摂れる食材は珍しく、夏の疲れた体には理想的な食事と言えます。
高齢者にとってのうなぎのメリット
疲労回復
うなぎに豊富なビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える働きを助け、夏の疲労回復に直結します。汗で水溶性ビタミンが失われやすい夏には特に重要です。
低栄養予防
たんぱく質と良質な脂質を一度にとれるうなぎは、食欲が落ちた時期の栄養補給に最適。フレイル予防の観点からも、夏場に取り入れたい食材です。
骨と認知機能のサポート
ビタミンDとカルシウム、EPA/DHAが豊富なため、骨粗しょう症予防と認知機能の維持にも貢献します。
嚥下に配慮したうなぎの楽しみ方
軟らかさを工夫する
- 蒸し焼きで時間をかけ、ふっくら仕上げる
- たれを多めにかけてしっとりさせる
- ご飯と一緒に小さく切り分ける(ひつまぶし風)
- 細かく刻んでお粥や雑炊に混ぜる
- うざく(うなぎと胡瓜の酢の物)の細切りに
嚥下調整食での提供
嚥下機能が低下した方でも楽しめるよう、市販の介護食メーカーから「やわらかうなぎの蒲焼き」「うなぎペースト」などの介護食も販売されています。施設や宅配ミールサービスで利用できます。
骨に注意
うなぎは小骨が残ることがあります。高齢者では喉に引っかかると危険なので、購入時は「骨抜き」表記のあるものを選ぶか、ピンセットで丁寧に骨を取り除いてから提供してください。
うなぎが難しい場合の代替食材
うなぎの価格、入手しにくさ、嚥下の難しさで悩む方には、ビタミンB1豊富な他の食材で「土用の丑の日メニュー」を楽しめます。
| 食材 | うなぎとの共通点 |
|---|---|
| 豚肉(豚もも、豚ロース) | ビタミンB1がうなぎを上回る含有量 |
| うなぎ味の蒲焼き缶詰(さんま蒲焼き、いわし蒲焼き) | 蒲焼きの味と手軽さ |
| あなご(穴子) | 味が似ていて骨が柔らかい |
| かば焼き風豆腐 | 植物性で嚥下しやすい |
| うどん(「う」のつく食べ物) | 嚥下しやすい、消化に良い |
| 瓜(きゅうり、冬瓜) | 「う」のつく夏野菜 |
| 梅干し | 「う」のつく、クエン酸で疲労回復 |
「うなぎでなくとも、夏バテ予防の意識でその日の食事を整える」という習慣自体が、健康習慣として大切です。
老人ホームでの土用の丑の日
多くの老人ホームでは、土用の丑の日に特別メニューを提供します。
- うな重、うな丼、ひつまぶしなどの特別メニュー
- 嚥下調整食版のうなぎメニュー
- うなぎが難しい方への代替メニュー(豚肉の生姜焼きなど)
- 季節行事として食事の意味を伝えるミニ解説
「夏の楽しみ」として土用の丑の日を施設全体で祝う取り組みは、食事の楽しみと季節感を同時に提供してくれます。
よくある質問
Q. うなぎは脂が多くて消化に悪くないですか?
うなぎの脂はEPA/DHAなどの良質な不飽和脂肪酸が中心で、適量なら消化に大きな負担はかかりません。ただし量を食べすぎると胃もたれの原因になるため、1食あたり50〜100g程度が高齢者には適量です。
Q. 養殖うなぎと天然うなぎで栄養に差はありますか?
栄養価に大きな差はありませんが、養殖うなぎは脂肪量がやや多めで甘みのある味、天然うなぎは身が引き締まりさっぱりした味の傾向があります。高齢者には脂のしっとりした養殖うなぎが食べやすい場合が多いです。
Q. うなぎが食べられない宗教・嗜好の場合は?
豚肉、あなご、さんまの蒲焼きなどで代用してください。「ビタミンB1+たんぱく質+消化にやさしい」の3点を満たす食材なら、夏バテ予防効果が期待できます。
まとめ
土用の丑の日は、夏の暮らしに彩りを加える日本の食文化です。うなぎでも代替食材でも、ご本人の状態に合わせて季節の恵みを取り入れて、夏を元気に過ごしましょう。
大阪ハピネス老人ホーム紹介センターでは、季節行事を大切にする老人ホームのご提案を承っております。お気軽にご相談くださいませ。